年に一度、自分へのご褒美にと特別な想いを寄せてしまうくらい、チョコレートは私たちを魅了してしまう食べ物の一つです。
今回は、チョコレートとその原料でもあるカカオについて。なぜ、美容健康効果が高いと期待され、また、スーパーフードとしても注目されているのか、チョコレートやカカオの効果効能やカカオを使った簡単レシピも紹介しています。
目次
カカオ(カカオ豆)って、どんなもの?
カカオ豆(カカオビーンズ)というくらいですから、カカオは豆の一種なの?と思っている方もいると思います。ですが、カカオはマメ科の植物ではなく、アオイ科になります。アオイ科の植物には、ハイビスカスやタチアオイ、オクラやドリアンなどがあります。
カカオは、常緑小高木で、中央アメリカから南アメリカを原産とします。実はラグビーボール状の形をしていて、太い幹に直接、実が束になってつきます。
その中に入っている種子、これがチョコレートの原料となる「カカオ豆」と呼ばれる部分です。
カカオ豆を砕いて、フレーク状にしたものがカカオニブ。カカオニブは、スーパーフードとしても知られていますね。
効果としては、抗酸化物質であるポリフェノールや、カテキン類が多く含まれています。カカオの栄養については後程ふれますが、カテキンの量はなんと、緑茶の4倍あります。
そして、このカカオニブを砕き、パウダー状にしたものがカカオパウダーです。
取り出した脂分がカカオバターになります。
5000年ものカカオの歴史とその驚くべき栄養価とは
そもそも、カカオの歴史は古く、紀元前まで遡ります。最近の研究では、アマゾンの熱帯雨林で5000年以上も前に食用として栽培されていたことがわかっています(「チョコレートの起源に新説 従来説より古く5000年以上前と=研究」BBC NEWS l Japan より)。
カカオは「神々の食物=テオブローマカカオ」と呼ばれ、特別な食べ物だったことがわかります。
それもそのはず、実は薬としても利用されていた記録があり、滋養強壮、疲労回復に効果があるとされ、不老長寿の薬としても利用されていました。
また中南米では、その昔、貨幣として流通するほどとても貴重な食材でした。
現在のメキシコ付近で食用とする文化が広がり、水とカカオを混ぜてドリンクとして飲んでいたようです。その後、香辛料と一緒に食べるようになったそうです。今でもカカオモレと呼ばれるソース(チキンに合う)は有名なメキシコ料理の一つです。
カカオが薬として使われていた時代、先人たちは経験からその効果を知り取り入れていましたが、現代では科学的にもその効果が認められています。
例えば、カカオに含まれる栄養素で一番有名なものにカカオポリフェノールがあげられます。強い抗酸化物質があり、コレステロール値を下げ、動脈硬化を予防する作用があるとして知られています。
集中力UPやリラックス効果も!チョコレートの持つ生理的作用
チョコレートの濃厚で魅惑的なあの香り!たまりませんよね。
あの香りにも実は、アロマテラピー効果が期待できます。
チョコレートに含まれるフェニルアルデビドやジメチルピラジンなどの香気成分は、中枢神経系に作用して集中度を向上させる作用が認められているそうです。
また、以前私がある海外のホテルに宿泊した際には、枕元にチョコレートが置いてありました。これは、チョコレートの持つリラックス効果を知っていたホテルの方が置いてくださっていたのでしょう。実際、ヨーロッパでは、就寝前にチョコレートやホッとチョコレートをいただくのだとか。
ただし、ビターなチョコレートにはコーヒーの1/2のカフェインが含まれるため、カフェインが苦手な方や、カフェインを摂ると眠れなくなる方は、ほんの少しのほうがよさそうですね。
ちなみにチョコレートのリラックス効果は、カカオに含まれるテオブロミン(苦味のもと)というカフェインに似た構造をしている成分によるもので、人間が幸せを感じるときに分泌される脳内物質の幸せホルモン「セロトニン」を増加させるためリラックス効果が得られると考えられています(カカオ製品の生理効果より)。
ちなみに、カフェインと似ているテオブロミンですが、カフェインよりも効果が穏やかなため、興奮作用も少ないのが特徴です。
女性に嬉しいカカオ/チョコレートの効果
よく知られているカカオの効果として、アンチエイジング効果が期待できることです。チョコレートが大好きな女性には嬉しいですよね。
チョコレートには、カカオポリフェノールやエビカテキンといった、食物にしか含まれていない化学物質=ファイトケミカルが多く含まれています。このファイトケミカルには、抗酸化物質すなわち、アンチエイジング効果が見込めるとされています。
主に含まれている栄養素は次のとおりです。
食物繊維、ポリフェノール、カルシウムや鉄、亜鉛などのミネラル、テオブロミンといったさまざまな栄養素がチョコレートには含まれています。
体にいいからたくさん摂るはNG!
栄養価が高くおいしい、人気の高い嗜好品の一つチョコレートですが、高カカオを謳ったチョコレートについては、国民生活センターの情報で気になることも掲載されています。
- 高カカオチョコレートはカカオの含有量が多いことから脂質が多く、エネルギーは相対的に高い。
そのため、食べる量に注意が必要。 - デオプロミンやカフェインなど生理作用のある物質も多く含まれているため、アレルギーを引き起こす人がいる食品の一つ。
嗜好品として楽しむ分には問題ないが、これらの成分に敏感な人や、テオフィリンなどの医薬品を使用している人は摂取に注意が必要。
(高カカオをうたったチョコレート(結果報告), 国民生活センター)
何でもそうですが、それだけを食べて体が健康になる、美容にいいということはありませんよね。体によい成分が入っているといっても、ほどほどが大事。
上記の高カカオチョコレートに関する注意喚起以外にも、チョコレートの食べすぎには以下の理由から注意が必要です。
- 市販されているチョコレートには砂糖や添加物がたくさん含まれている
特に白砂糖(精製された砂糖)を多く使用している体が疲れてしまう、眠くなる、集中力がなくなる、さらに甘いものを欲するなど、白砂糖をたくさんとることでの健康への影響が懸念される。 - 安価なチョコレートには、トランス脂肪酸が含まれている
そのため、血中コレステロールを上げる、活性酸素が増え、老化や動脈硬化などの病気を引き起こす原因になるともいわれています。
カカオ/チョコレートの健康的な摂り方は?
チョコレート(カカオ)を健康的にな摂りかたとしては、ローチョコレートやローケーキといった、「生」でいただく方法がおすすめです。
カカオ自体の持つ豊富な栄養素(ビタミン・酵素、その他)などを余すところなく摂ることが可能です。
生でいただく食事法は、ローフードといわれ、高温で調理せず低温(48度以下)で料理するため食材の栄養素が損なわれにくく、健康や美容に高い効果が期待できる方法として世界中で多くの人たちに取り入れられています。
下記は、ローフードのカカオレシピです。定番レシピをちょっぴり大人な味にアレンジも可能です。ぜひ参考にしてみてください。
写真・監修=料理家 安藤千英
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