なぜかわからないけどモヤモヤする、嫌な出来事を思い出して気持ちが落ち込む、などネガティブな気持ちに囚われて心が重くなってしまうということは、誰でもあると思います。
ですが例えば、風邪を引いたり、体調が悪いときはゆっくり休んだりしても、体も心も弱っているときは無理しすぎたり、感情をスルーしがちです。
そうしているうちに、日常生活でのストレスや負の感情が、知らないうちに溜まってしまうのです。
溜まってしまった感情は放置せず、気づいたらこまめにデトックスすることが大切です。
ここからは誰でも簡単に取り組める『感情(心)のデトックス法』をいくつかご紹介します。
目次
1. 感情を吐き出して、大切なものに気づく
今感じていることをノートに書き出したり、聞いてもらえる人がいたら話すことで、ネガティブな感情を解放するカタルシス(浄化)効果が得られます。
アウトプットすることで整理できたり、書いたり話しているうちに客観的に自分の思考や感情の癖、思い込みに気づくことができます。
そのように一旦、自分の中にあるものを外に出すことで、飲み込まれてしまっていた思考や感情と距離を置くことができます。
ここでは、ひとりでも簡単にできる感情と向き合うステップをご紹介します。
①感情をラベリングする
「ラベリング」とは心理学用語で、人や感情にラベルを貼って認識を定着させる、という行為のことです。
まず、ノートとペンを用意します。
今、何についてどう感じているのか思い浮かぶまま書き出します。
そして、その感情をラベリングします。
具体的には、「これは怒りだな」「悲しいんだな」というように、不安、焦り、心配、恐れ、喪失感など、感情に気づいてラベリングすることで、感情を客観的にみることができます。
②体の感覚に意識を向け、寄り添い受け容れる
ネガティブな感情を感じているときの体の感覚に意識を向け、体の『どこ』が『どんなふうに』感じるのか、あるがままに感じます。
その感覚を感じたまま、自分の大切な人にしてあげるように「そう感じていたんだな」「よくがんばってるね」などと自分に寄り添います。
そして、今の自分の心と体に、優しく思いやりをもって接するようにしましょう。
すぐには受け容れられなくても徐々に心のデトックスが進み、そのうちすーっと受け容れられるときがやってきます。
③大切にしたいこと、学びに気づく
ネガティブな感情は、「自分が大切にしたいこと」「自分にとって強い価値があること」と繋がっている、と言われています。
今あなたがネガティブな感情を感じているとしたら、その気持ちは、あなたにとって大切な何かを踏みつけられるように感じたり、否定されたと感じたから、ということもあるでしょう。
大切にしていること、価値観は人それぞれ違います。
ネガティブな気持ちを掘り下げて、大切なことに気づいたら、それを大切にするためにできることを考えて、小さいことから行動してみるといいですね。
また、辛く苦しい経験を振り返り、そこから学べることがあるとするとどんなことだろう、と自分自身に問うことで、自分にとって貴重な学びがあるかもしれません。
2. 瞑想する
最近ではマインドフルネスとして広く知られるようになった瞑想。 体験したことがある方や、日々の暮らしに取り入れている方も増えているのではないでしょうか。
瞑想には心身を整える様々な効果があるといわれており、
- 呼吸が深くなることで血行がよくなり、内臓機能が向上する
- ストレスに強くなる
- 自律神経が整い、心身の凝りがほぐれる
- 思考や感情を客観的に捉えられるようになる
など心をデトックスしたいときにもおすすめです。
瞑想には色々な方法がありますが、ここでは簡単にできる方法を3つご紹介します。
①呼吸瞑想
呼吸に意識を向ける瞑想です。
椅子に浅く腰かけるか、床に座り背筋を伸ばします。
背筋を伸ばすときは、力を抜いて糸で上に引っ張られているような感覚で。
目は閉じるか瞼を半分閉じた「半眼」で、両手は手のひらを上に向け、膝の上に置きます。
3回深呼吸をしたあと、自然な呼吸に戻し「吐く」「吸う」という流れや体の感覚を観察します。
②食べる瞑想
五感で食べ物を味わうことで、今に意識を集中する瞑想です。
料理を目でじっくり観察し、色や香りを味わいます。 そしてゆっくりと口に含み、食感や味を楽しんで丁寧に咀嚼します。
普段何気なく食べている野菜やご飯が、「こんなに甘味があったのか」「私はこの食感が好きなんだな」と新鮮な気づきや感動を味わえ豊かさを感じられる時間になります。
③ボディスキャン瞑想
全身の感覚に注意を向け、順番にスキャンしていく瞑想です。 自律神経を整える効果があると言われています。
仰向けになり、両足を軽く開き両手は体の脇に、手のひらを上に向けて目を閉じます。
呼吸瞑想を数回行い、体の感覚に意識を向けます。
まず、頭部から始めて、頭皮、顔、首の感覚に注意を向けます。
緊張や凝りなどの不快な感覚や、冷たさ・温かさ、重さなどを感じていきます。
そして、観察した感覚がどのように変化するのか、注意深く感じていきます。
順番に肩、胸、背中、腕、手、腰、脚、そして足先に向かっていきます。
最後に全身に注意を向けて、呼吸瞑想を数回行い、ゆっくりと目を開けます。
瞑想することで日々の喧騒やストレスから解放され、心と体の調和を促してくれます。
どれも取り入れやすい瞑想ですので、自分に合う方法を見つけてみてくださいね。
3. ものやデータを捨てる
部屋が散らかっているとなんだか落ち着かない、心がザワザワする、と感じたことはないでしょうか。
例えば、伝統医学アーユルヴェーダや心理学でも「心の状態が空間にあらわれる」とされています。
部屋が散らかっていたり、未読メールなど、不要なものが溜まるとそれだけで知らないうちにストレスになります。 要らないものを捨てると、それだけでスッキリしますよね。
今の自分に必要なものなのか・心地いいものなのか、今あるものと向き合うことで気持ちの整理にもなり、心のデトックスに繋がります。
住まいはそこに暮らす自分の『命』を育む大切な場所です。
まずは、気が向いたところや気になっているところを「3分だけ」整理整頓してみる。 全部やろうとすると気が重くなり後回しになりがちですが、3分だと思うと取り掛かれそうじゃないですか?
また、3分だけのつもりがいつの間にか熱中してしまい、一気に整理が進んだという経験、私はよくあるのですが、皆さんも同じかもしれませんね。
4. 思いきり泣く
子どもの頃はやりたいことを思いきり楽しんで、悲しかったら泣いて、不快だと感じたら怒る、など素直に感情を発露します。
ですが、大人になるといつの間にか周りに合わせてしまい、無理や我慢をしたり、思考と感情、行動が一致しない場面も増えるかもしれません。
本当はこうしたかったけれどできなくて残念な気持ち、避けられない人間関係のストレスなど、そうやって知らずしらずのうちに心の毒素が溜まってしまいがちです。
そんなときは、感動するドラマや映画を観て思いきり泣きましょう。
号泣するくらい涙を流すことで、アドレナリン・ノルアドレナリンという交感神経を刺激するホルモンが蒸散されます。
泣いた後はスッキリする、と感じたことがある方もいらっしゃると思いますが、泣くことで交感神経から副交感神経へ切り替わり、自然と感情のデトックスをすることができます。
5. 食事、運動、睡眠を見直す
仏教で「心身一如(しんしんいちにょ)」という考えがあるように、心と体は繋がっています。
睡眠不足や暴飲暴食、偏った食事、運動不足なども毒素が溜まる要因になります。
例えば、仕事が忙しく一時的に乱れてしまったときは、ゆっくり休んだり、消化によい食事をするなど回復を図りましょう。 そのほかにもリモートワークにより外出が減り、仕事もデスクワークの場合は、意識しないと体を動かすこと自体が少ない、という方も多いのではないでしょうか。
慢性的に毒素が溜まる生活習慣がある場合、その状態を続けることで毒素が病気へと繋がってしまう可能性もあります。
日々の小さな積み重ねが心身の状態に現れます。
体の状態を整えることで、自然と心のデトックスも促されます。
- 食べ過ぎてしまったら次の食事を軽くする
- 夜更かしが続いてしまったら15分でも早く寝るよう意識してみる
- いつも使うエレベーターを階段で登ってみる
など簡単にできるところから見直してみるのがおすすめです。
また、そのように行動してしまう原因は心の中にあるかもしれません。
なぜ、よくないとわかっている行動がやめられないのか、向き合ってみることも大切です。
自分にとって心地よく健やかだと感じる食事、運動、睡眠のリズムを整えられるといいですね。
6. 自然のエネルギーに触れる
山や海、川など自然の多い環境に身を置くことで、呼吸も深くなりリラックスする方も多いのではないでしょうか。
波の音や川のせせらぎ、木漏れ日、炎などには「1/fゆらぎ」といわれる一定のリズムがあり、人間の体もこのリズムを持っているそうです。
人が五感を通して自然から1/fゆらぎをキャッチすると、体のリズムと共鳴して自律神経が整い、精神も安定し活力が湧くと考えられています。
大自然ではなくても、陽の光や月明かりを浴びたり、雨音に耳を澄ませる、近所の公園などでひとり静かに過ごすなどの時間を取ることで、心が洗われるのを感じてみてください。
無理や我慢をし過ぎず、自分を癒す
仕事や人間関係、日々の暮らしの中ではもちろん、自分のコントロールが及ばない自然や環境、社会で起こる様々なことからも私たちは日々ストレスを受けます。
ストレス自体は適度であればよい刺激となり、行動力を促してくれるもので、実はネガティブなことばかりではないのです。
ここでご紹介した『心のデトックス法』は気軽に試していただけるものばかりですので、疲れたな、無理してるなと感じたらぜひ、こまめに取り入れてみてください。そして、自分を労り満たしていきましょう。
参考文献:
蓮村誠著 アーユルヴェーダ式2週間で毒出し生活
古川武士著 書く瞑想
宝彩有菜著 瞑想のすすめ 瞑想は頭の中の整理術
川野泰周著 ぷち瞑想習慣 思いついたら始められる心の切り替え方
ラス・ハリス著 よくわかるACT 明日からつかえるACT入門
岸本早苗著 マインドフル・セルフ・コンパッション入門 自分を思いやるレッスン
AYUVEDA式アーユルヴェーダアドバンス講座テキスト
https://ja.wikipedia.org/wiki/1/fゆらぎ