洗って繰り返し使える、食品保存用 「みつろうエコラップ」をご存じですか。
「みつろうエコラップ」とは、布生地にみつばちの巣の材料である「蜜蝋(みつろう)」を染み込ませた、洗って繰り返し使える食品保存用のラップです。お皿や保存容器に、どんな形にもフィットして、何度でも繰り返し利用できるラップです。
ここ数年テレビや雑誌などメディアでも紹介され、
「初めて見た。かわいい!」
「気になっていた」
「使ってみたかった」
「便利でいいなぁと思っていた」
このような声を聞きます。
「エコラップって何?」「なぜ人気なの?」という方へ、今回みつろうエコラップについて詳しくご紹介しています。
また、みつろうエコラップの活用方法や再生方法なども掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
なぜ、今エコラップが人気なのか?
繰り返し使えるみつろうエコラップが話題になっているその背景には、見た目が可愛いだけでなく
- ウミガメの鼻に入り込んだストロー
- クジラのお腹から出てきたゴミ袋たち
- 世界中で処理しきれず問題になっているプラスチックのゴミの山
など、世界中でプラスチックが深刻な問題になっていることがあげられます。
人気カフェのストローが紙製に変わったり、レジ袋が有料化されたりと、社会の動きが大きく変化してきていますね。
つい先日(2021年3月9日)も、プラスチックごみの削減を目指す新法案「プラスチック資源循環促進法案」が閣議決定され、プラスチック袋に続き、コンビニやスーパーのレジでもらえるプラスチック製フォークやスプーンの有料化が開始されるというのが話題になっています。
そんな中、近年話題で人気なのが、「みつろうエコラップ」です。
今回は、「“わたしがつくる”小さな循環で、明日の地球を HAPPY に!」をキャッチフレーズに、いち早く日本にエコラップを持ち込み広めた、オーストラリア発みつろうエコラップKoKeBee代表 楳村郁子さんに、みつろうエコラップとはどんなものなのか、その使い方や長く使うためのコツなどを詳しくご紹介していただきました。
みつろうエコラップって何?
「みつろうエコラップ」とは、布生地にみつばちの巣の材料である「蜜蝋(みつろう)」を染み込ませた、繰り返し使える食品保存用のラップです。洗って何度でも繰り返し利用することができます。
ですが実はこのエコラップ、みつろうを布生地に染み込ませただけでは、バリバリと硬く、とても使いにくいラップに仕上がってしまうのです。
そこで、オーストラリア発のみつろうエコラップKoKeBeeでは、軟らかく、抗菌性に優れ、繰り返し使えるエコラップに仕上げるために、ホホバオイルや松の樹脂をブレンドしています。
オイルや樹脂をブレンドすることによって、KoKeBeeでは、密着性、柔軟性に富んだ、最高のエコラップの開発に成功しました。
最高のエコラップを作るために、KoKeBeeでは、何度も何度も繰り返し試作をおこないました。というのも、オイルや樹脂のブレンドは、多すぎるとべとつき、少なすぎると硬くなり、ラップ自体の耐久性が悪くなってしまうからです。そして遂に、密着性、柔軟性に富んだ最高のラップの黄金レシピが完成したのです。
またKoKeBeeでは、エコラップの布生地にオーガニックコットンを使っています。
その理由の一つは、みつばちの絶滅を食い止めるため、なんです。
従来のコットン(綿)栽培には、大量の農薬、殺虫剤が使われている
従来のコットン栽培に大量の農薬が使われていることや、世界的にみつばちが減少しているといわれているのをご存じでしょうか。
世界中の綿花栽培面積は、全耕作地の2.5%ほどであるのに対し、殺虫剤の使用は15.7%、農薬全体でも6.8%を占めているのです(NPO法人日本オーガニックコットン協会より)。
みつばちは世界中の農作物の50%〜70%の受粉を担っており、みつばちがいなくなれば世界中の人々が食糧難に陥るという研究がされています。
みつろうエコラップラップを作るためのコットン栽培で、みつばちを殺してしまうのは本意ではありません。 KoKeBeeでは、このみつばちの絶滅を食い止めるためにもオーガニックコットンを使用しています。
みつろうエコラップの使い方
みつろうエコラップ、「かわいい!」と手にとって購入したものの、「どうやって使ったらいいの?」と、十分に活用できず、キッチンの引き出しにしまいっぱなし・・・という話しを時々耳にします。
ですが、眠らせているだけではもったいない!!みつろうエコラップは、アイディア次第で使い方は無限大なんです。
みつろうエコラップの基本的な使い方とお手入れ方法
ここでは、KoKeBeeみつろうエコラップを参考に、エコラップの基本的な使い方やお手入れ方法を具体的にご紹介していきます。
✓使う前に、確認していただきたいこと
熱々の食材や、お皿には使用しないこと。
蓋をしたいお茶碗やボウルの中に入っている食品が熱いままだとみつろうが溶けてしまいます。
食品の粗熱が取れていることを必ず、確認してください。
✓使い方
食品が冷めたらラップを広げてお茶碗の上にかぶせ、両手で優しく上から、お茶碗の縁に沿って包みます。
手の温もりでみつろうが柔らかくなり密着するので、大事に温めながら包んでください。
夏場など、気温が高い時期はラップが少しべたつくかもしれませんが、安心してください。
その手についたみつろうは上質なハンドクリームになります。爪のあたりなど、カサつく部分にすり込んであげてください。
✓使用後のお手入れ方法
使用したあとは流水で洗います。
洗剤は使わず洗います。
食器用洗剤の強いアルカリや、お酢などの強い酸に触れるとみつろうがダメージを受けてボロボロとしてしまいます。洗剤は使わず洗ってください。
ぬるめのお湯で洗うとみつろうが柔らかくなり、汚れもよく落ちます。
洗い終わったら水気を切って、十分に乾かします。
かわいい洗濯バサミでキッチンにぶら下げたり、マグネットで冷蔵庫の扉に貼って乾かしたりしても、インテリアの邪魔にならずキッチンも可愛らしくなりますね。
さて、基本的な使い方がわかったら、どんどん活用してみましょう!
みつろうエコラップ活用方法
1.切りかけの野菜を包んでみよう
生姜を包むとラップの密封性と抗菌作用で1ヶ月経ってもシャキシャキです。
半分の玉ねぎ、にんじん、かぼちゃ、みじん切りにしちゃったけれど使わなかった食材もみつろうエコラップで包んでから冷蔵庫で保存すればみずみずしいままです。
「包んだ後に中身が見えなくて困る」というお声をも時々いただきます。
この場合、例えば野菜全体を包みこまず、頭やお尻だけを見せるようにして包めば中身が見えるので安心です。
2.お弁当にも
遠足やピクニックのときには、サンドイッチやおにぎりを包むと食材の乾燥も防いでくれて、持ち歩くのにぴったりです。
帰りは折りたたんで持ち帰れるので、荷物にもならず、かさ張らず、ゴミも出ません。
そのほかに、あなたが特別に大事にしている曲げわっぱのお弁当に染みがつかないよう底に敷いたり、おかずの仕切りに使ったり、大きいサイズのエコラップで風呂敷代わりにお弁当箱を丸ごと包んだりするのもおすすめです。
お子さんのお弁当にみつろうエコラップを使うときは、「捨てないで持って帰って来てね」と伝えるのを忘れずに!
3.自家製仕込みにもエコラップを活用!
手作りが好きな方は、ぜひ発酵食品づくりにもみつろうエコラップを活用してください。
清潔な瓶に牛乳を注いで、そこに一割ほどのヨーグルトを加えてよく混ぜ、みつろうエコラップで蓋をして、二日ほど常温で発酵させれば手作りヨーグルトの完成です!
みつろうエコラップで蓋をすると、適度な空気の入れ替えにより発酵に必要な酸素の供給ができ、ホコリや虫の侵入を防ぐことができます。
防水性も抗菌作用もあるので腐敗のリスクが少ないです。
瓶にぴったりくっつくので、布生地を巻くよりも簡単!紐やゴムで止める必要もありません。
ヨーグルトと同じように、塩麹や醤油麹を作るときに使うのもおすすめです。
そして、手作りのお味噌を仕込みたいと思ったら、ぜひみつろうエコラップを表面の蓋にしてください。
通常のプラスチックラップで蓋をすると、長期間熟成させている間に環境ホルモンと呼ばれる毒素が味噌に染み込み、深刻な健康問題となるリスクがあります。ですが、オーガニックヘンプとオーガニックコットンを織り交ぜた無漂白のエコラップで蓋をすれば、長期間密着させても毒素が出てこないため安心です。
抗菌作用が発揮され、味噌表面のカビも生えづらくなります。
さて、ここまで活用できたら、あなたはもう、みつろうエコラップのエキスパート!
キッチンの引き出しに入っている今までのプラスチックラップを確認してみてください。最後に買い足したのはいつでした?
ずいぶん長い間、買い足していないことに気がついたんじゃないでしょうか。
そんなことに気がついた頃、お気に入りのみつろうエコラップを見ると、表面が白っぽくなってボロボロになっているかもしれません。
せっかく活用していたのに、これでは密着性も弱くなり、使い心地も悪くなってしまいます。そこで、ボロボロになったエコラップを蘇らせてみましょう!
ボロボロになった「みつろうエコラップ」はどうしたらいいの?エコラップの再生方法を紹介
エコラップの再生方法として一番簡単な方法は、アイロンを使うことです。
- まずアイロン台の上に古新聞をひろげます。
そして、ラップよりひと回り大きいサイズにカットしたオーブンシートを二枚用意して、新聞の上におきます。 - 2枚のオーブンシートの間にラップを挟み込み、上からごく弱い温度のアイロンを優しく押し当て、みつろうを溶かします。
- みつろうがまだ固まらないうちに、素早くオーブンシートからはがして両手でつまみ上げ、空中で10秒から20秒乾かします。
これでみつろうエコラップのメンテナンス完成です。
とても簡単に再生できましたね!
アイロンを使用するときの注意点
アイロンを使用するときの注意点として、やけどはもちろんですが、アイロンやアイロン台を汚さないように気をつけてください。
アイロンやアイロン台が汚れると、洋服が汚れてしまう恐れがあります。
みつろうがオーブンシートからはみ出してアイロンに付くと次回アイロンをかけるお洋服を汚すことになります。また、焦げて煙がでてしまう原因にもなります。
さらに、みつろうがアイロン台についてしまうとシミになって取れません。次回アイロンをかける際にお洋服を汚してしまうため、気をつけてください。
みつろうが溶けたラップをつまみ上げるときは、くれぐれもやけどにご注意ください。
みつろうエコラップで、あなた発の幸せな循環を作ろう!
使い方やお手入れ方法などとても簡単ですよね。
買ったはいいけど、いまいち活用しきれていなかったという方や、お手入れ方法が分からなかったという方は、ぜひ参考にしてください。
今まで気になっていたという方も、これを機にエコラップを使ってみてくださいね。
エコラップの可愛らしいデザインが毎日の料理を楽しい時間にしてくれるだけでなく、プラスチックラップの使用が減ることで、あなた自身とあなたのご家族の健康や、また、海や空が綺麗になることにもつながります。
「プラスチックが問題になっていることは知っているけれど、普通のラップのほうが丈夫だし、便利だよね」
「環境問題なんて難しそうで私にはわからない・・・」
もしかしたらそんな風に思っている方でも、みつろうエコラップを使うだけであなた発の素敵な循環を作ることができるのです。
自分や家族の健康だけでなく環境を守るというと、何かすごいこと・壮大なことに取り組むというイメージもありますが、日常の中でほんの少しを変えるだけで、人間にとっても生き物たちにとってもより住みやすい、幸せな環境を育み、次の世代につなげることができるのです。
【執筆者 楳村郁子さんプロフィール】
楳村 郁子(うめむら いくこ)
1993年よりオーストラリア在住。子どものころからアレルギーを患いステロイドに頼る毎日だった。 |