「ベジタリアンとは?」ひと目でわかるベジタリアン一覧表とベジタリアン料理について

現代の食生活は、野菜不足だったり栄養が偏っていたり、農薬や添加物等の影響もあったりと、さまざまな問題を抱えています。 それらはまた、アレルギー・アトピーなどをはじめとする現代病の原因になり、普段どのような食事を摂ればよいか悩んでいる人も多いでしょう。

現代の食事は、健康上の問題が山積みなだけでなく、過剰な食品ロスや、反対に食糧問題など課題を多く抱えています。 これらの課題も影響し、積極的に植物性の食事を摂るベジタリアンも増えています。

とくに、ミレニアル世代(注1)と言われる若い人たちは意識的にプラントベースの衣食住を選んでいるそう。 若い世代だけでなく世界中の人たちの多くがこれまでの食肉から急激に離れているというデータもあります。 これは、数年前から世界的に見られる光景で、ある英調査会社グローバルデータによると、肉を食べない、または消費量を減らしている人は、世界人口の70%に上るとみられると言います。(注2)

今回、「世界中でこういった動きが広がっているのはなぜなのか」「そもそもベジタリアンって何?」と疑問を感じている人にも分かりやすくベジタリアンについて説明。 また、ベジタリアンの違いをひと目で分かる表にまとめていますので参考にしてみてください。

ベジタリアンって何?

ベジタリアンの朝食イメージpixabay

ベジタリアンとは、肉類、魚介類(または、それらを含む食品)を食べない人のことを言います。

1908年にドイツドレスデンで菜食主義を促進することを目的に設立された非営利団体「国際ベジタリアン連合(IVU)」では、菜食主義(ベジタリアン)のことを

IVU(International Vegetarian Union) defines vegetarianism as a diet of foods derived from plants, with or without dairy products, eggs and/or honey.

乳製品、卵、蜂蜜を含むまたは含まない植物由来の食品の食事」と定義しています。

厳密にはベジタリアンにもいくつもの種類があります。

おもなベジタリアンの種類

ベジタリアンの種類をひと目で分かるように表にしてご紹介します。

名称 乳製品 蜂蜜 特徴
ヴィーガン
(ピュアベジタリアン)
× × × × × 衣食住すべてにおいて可能な限り動物由来のものを避けるライフスタイル
オボ・ラクトベジタリアン × × 菜食+卵・乳製品を食べる
ラクトベジタリアン × × × 菜食+乳製品を食べる、インドに多い
オボベジタリアン × × × 菜食+卵を食べる
ペスカタリアン × 魚介類+卵、乳製品を食べる、昔の日本人に多かったスタイル
ダイエタリーヴィーガン × × × × × 健康重視のヴィーガンで食事においてのみのヴィーガンスタイル、衣類などは動物性でもOK
オリエンタルヴィーガン × × × × × 五葷(ごくん)を除く植物性食品を食べる
フルータリアン × × × × × 果物やナッツ類などを中心とした食事をする、生命を奪う行為を最大限に避けるため、肉・魚・野菜類を口にしない
ローヴィーガン × × × × × 48度以上に加熱されたものは食べない、衣食住可能な限り動物性由来のものを避ける
フレキシタリアン(セミベジタリアン) 週に何度かは肉・魚介類などを食べる、意識的に可能な限り動物性食品を減らす食事を摂るが、絶対ではない

 

このように、世界中でおもに取り入れられているベジタリアンの種類はいくつもあります。 ほかにも、リキッダリアン(液状の食事を摂る)やブレッサリアン(呼吸や日光でエネルギーを蓄え、食事はほとんどしない)など、一般的にはあまり聞きなれないベジタリアンもあります。

近年増加傾向にあるのが、フレキシタリアン(セミベジタリアン)です。 環境保護や倫理的理由、食糧問題などの理由からベジタリアンの考え方に共感し、意識的に動物性食品の摂取を減らしている人が多いようです。

また、最近耳にするようになったハラール(ハラールベジタリアン)などもあります。

ベジタリアンになる(を選ぶ)理由

ベジタリアンになる理由は人それぞれです。 健康上や宗教上の理由からベジタリアンを選ぶ人もいますが、近年多いのは倫理的理由や環境保護、食糧問題などの課題意識から動物性の食事を減らすという人です。

筆者も12,3年ほど前はヴィーガン生活を送っていました。 当初は健康上の理由からベジタリアンやヴィーガンに興味を持ち、学び、取り入れ、それが意外にも心地よく感じたことから続けていました。

現在はヴィーガンではありませんが、たったひとりの食生活や暮らし方が環境保護やその他社会課題の解決について考えるきっかけになったり、多様な生き方があることを知ってもらえたり、生き方は自由に選べると感じてもらえる機会になったら嬉しいです。

世界のベジタリアン料理

ベジタリアン

「ベジタリアンに興味はあるけれど、一体どんなものを食べてるの?」と疑問に感じていませんか? ここでは、世界のベジタリアン料理についてもご紹介していきます。

世界にはたくさんのベジタリアン料理が昔から存在します。 それは、人が健康的に幸せに人生を送るための知恵や予防するための方法として受け継がれています。

  • マクロビオティック・・・玄米を主食とする玄米菜食を基本とする食事で、一物全体(食材をまるごといただく)、身土不二(その土地で取れた旬のものをいただく)、陰陽調和(陰性・陽性のバランスを整える)などの基本的なルールがある。 バランスのよい食事や考え方を推奨するもので、「~を食べてはいけない」という制限は実はない。
  • 精進料理・・・仏教では僧は殺生が禁じられていたこともあり、とくに大乗仏教の文化圏で広まった。僧へのお布施として野菜や豆・穀類などを工夫して調理した食事、五葷(ごくん(ネギ・にんにく・玉ねぎ・らっきょう・にら))を摂らない。 永平寺流精進料理や台湾素食などがある。
  • ローフード・・・昨今話題になった食事法。 48度以下で調理する。 「生」の状態の食材をいただくことで体内での消化による負担を軽減し、健康・美容の効果を促す食事。
  • リビングフード・・・ローフードと似た部分もあるが、酵素栄養学(生きた酵素を体内に取り入れることを重視した栄養学)を基本にアメリカの医学博士によって考案された食事法。
  • ナチュラルハイジーン・・・健康を保ち、病気を予防するための理論で、アメリカの医師らによって体系化された食事法。 食事はローフード(生)が中心で、タンパク質と炭水化物を一緒に食べないなど食べ合わせの基本的ルールがある。
  • 「おまけ」レバノン料理・・・中東、地中海に面した国の料理。 肉料理もありますが、野菜を使った料理も多く、欧米を始め日本でもフムスやファラフェルなど、ベジタリアン料理として親しまれている。

(※アーユルヴェーダはベジタリアンではありません)

 

ベジタリアン料理ってどんなものがあるんだろう?
そんな風に感じていた人もこうやってみると、意外にもどこかで食べたことがあるかもしれませんね。

10年ちょっと前までは、日本でベジタリアンというと、健康上の理由から取り入れているダイエタリーヴィーガンが多かったように感じますし、まだまだ偏見も多くありました。

今ではベジタリアン自体が増加傾向にあるだけでなく、ベジタリアンでなくても環境・倫理的理由や食糧問題への課題意識から動物性の食事を減らそうと日常的に取り組んでいる人たちが増えていると実感しています。

実際に、ベジタリアン食材を購入できるお店も増えたり、ベジタリアン料理を提供するカフェやレストランも増えたり、人にも環境にもやさしく、持続可能なサステナブルな取り組みを行っている企業、個人も増えたりしていますよね。 ファッション誌などでもサステナブルな取り組みや、プラントベースの衣食住が取り上げられているのがあたりまえになりつつあります。

日本でも(東京などの大都市に限るが)ベジタリアンにとってやさしい環境が整いつつある印象です。

一方で、海外から訪れる外国人観光客からは、「どうやって日本でベジタリアンレストランを探せばいいのか分からない…」などの声も多数あるようです。

ベジタリアンが本当に健康によいかどうかは意見が分かれますが、「ベジタリアン」「ヴィーガン」という生き方に興味があるという人は、まずは、おいしいベジタリアン料理に親しんでみることから始めてはいかがでしょうか。

 

 

(注1)ミレニアル世代・・・1980年代~2000年代初頭に誕生し、2000年以降に成人になっている世代。デジタルネイティブとも呼ばれる。
個人主義でありながら、社会的課題などにも関心が高く、ワークライフバランス重視する。「モノ」には執着がなく「コト(体験)」を得るために消費するなど、これまでの世代とは価値観が大きく異なる世代

 

参考資料:
(注2)Forbes(2018/04/01). 世界で進む「肉食離れ」ミレニアル世代がけん引, 2020/03/03, https://forbesjapan.com/articles/detail/20409/1/1/1
世界中にある様々なVeggy食を愉しもう!!(2008/6/30). Veggy Steady Go!, 2008 Summer Vol.1, 46-49.

 

 

Risa

Eat Act Tokyo運営/ 3児の母
東京都在住
発酵食品作り季節の手仕事が好き。
薬に頼らない子育て、暮らしを心がけている。

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