私たちは日々、太陽や月、惑星から影響を受けて過ごしています。
惑星といわれてもいまいちピンとこないかもしれませんが、中でも「月」はとても身近な存在です。
最近では、月のリズムを意識して過ごすという方も増えていますね。
そして、月が満ち欠けして形を変えることはよく知られていますが、
- なぜそうなるのか?
- なぜ月はずっとついてくるのか?
- なぜ同じ場所にいないのか?
知っていそうで知らないこと、結構ありますよね!
今回は、月のリズムを暮らしに生かすヒントと月そのものの実態について紹介したいと思います。
目次
月の見え方・形・呼び名
「ついてくる月」と「スーパームーン」
ずっと歩いているのに月がついてくる。 そこにある建物はある程度離れるとそのうち見えなくなりますが、月はずっと一緒についてきます。 それは月が私たちから遥か遠いところにある存在だからです。
地球の半径は6,370㎞、月の半径は1,737㎞。
地球の直径は月の直径の約4個分、地球と月の距離は平均地球約30個分もあります。 平均というのは、月の軌道は楕円なので、月と地球の距離は近いときもあれば、遠いときもあるためです。
そして地球に最も近いときの満月を「スーパームーン」といい、いつもより大きく明るく見えます。 最も遠いときの満月と比べると、その大きさ(視直径*)は14%、明るさでは約30%も違うそうです。
スーパームーンとは、もともとは占星術の言葉で科学的な表現ではありませんが、とても分かりやすいですよね。
ちなみに今年2023年でいうと、8月31日の満月がスーパームーンにあたります(2023年の8月は満月が2度あります)。
*視直径とは、通常、円に近い形に見える天体の見かけの直径のことで、角度の単位で表わす(『天文学大事典』2007年 天文学大事典編集委員会/編 地人書館)。
月の形が変わる訳「新月」~「満月」
太陽は自分で光を発しますが、月は太陽の光を反射し、その照らせされた部分を私たちは見ています。
では「地球」、その周りを回る「月」「太陽」を平面図で考えてみましょう。 下の図は地球の周りを公転している月の満ち欠けの様子を表したものです。
画像:Eat Act Tokyo
●新月
地球と太陽の間に月が入り、「地球→月→太陽」という順番で一直線に並んだときの月、これが新月です。
このときに地球から月を見ると、光が当たっていない部分を見ることになります。
そして新月は、太陽と一緒に昇り沈むので私たちは見えません。
●上弦の月
つぎに地球と太陽の位置はそのまま、月が地球の周りを90度移動します。 このとき地球から月を見ると、月が太陽の光に照らされた半分だけを見ることができます。 これが上弦の月です。
昼間に東から昇り、夕方に一番高く、夜中に西へ沈みます。 夕方前の青い空に浮かぶ白い月は、この上弦あたりの月です。
●満月
さらに月が地球の周りを90度移動し、今度は「月→地球→太陽」という順番で一直線の並びになります。 このときに地球から月を見ると、光の当たった全面を見ることができます。 これが、満月です。
満月は太陽が沈む頃に東から昇り、真夜中に一番高く、太陽が昇るころに西へ沈んでいきます。
●下弦の月
最後にもう90度月が地球の周りを移動すると、上弦の月と同じように、地球から見ると太陽の光に当たった部分の半分だけを見ることができます。 これが下弦の月です。
真夜中に東から昇り、明け方に一番高く、昼間に西へ沈みます。 朝方に白い半月が見えるときは、この下弦あたりの月です。
月が毎日同じ時間、同じ場所にいない理由
このように形を変えていくにつれ、月が東から昇る時間が遅くなっていきます。
それは月が地球の周りを27.3日かけて回っているからで、毎日13度ずつ、時間にすると50分ずつ遅くなります(季節や場所にもよります)。
そのため、月は毎日同じ時間、同じ場所にいないんです。
潮の満ち引きと月・女性の関係
潮の干満と月
潮が満ちて海面が高くなったときを「満潮」、潮が引いて海面が低くなったときを「干潮」といいますが、潮の干満はどのようにして起こるのか知ってますか?
それは、月の引力が海水を引っ張っているためです。
月の引力で引っ張られるわけですから、月のある側だけが満潮になりそうですが、月が地球の周りを回る遠心力により反対側も満潮になります。
そして、満潮部分に海水が引っ張られるので、満潮と満潮の間は干潮になります。
地球は1日に1回転するため、満潮、干潮それぞれ2か所を通過します。 そのため満潮と干潮は1日にほぼ2回ずつ起こるというわけです。
また、太陽の引力も加わるとき、満月や新月の前後で干満を起こす力がとても大きくなります。 この満潮と干潮の差が大きいときを「大潮」といいます。
一方、上弦や下弦の月の前後では、月と太陽の位置関係から干満を起こす力が別の方向に働くので、満潮と干潮の差がとても小さくなります。 この差が小さいときを「小潮」といいます。
そして、海に住む生き物たちにも潮の干満が影響しています。 潮の干満にあわせて捕食をしたり、繁殖活動をおこなうなどです。
例えば、様々な生物が海中で一斉に繁殖活動をすると種が分からなくなってしまいそうですが、潮の干満と明暗や海水温などを組み合わせ、一定の時期に繁殖活動をすることにより種を識別しているのです。
女性の周期と月
つぎに、月がどのように私たちに影響しているかをみていきたいと思います。
- 満月の日には出生率が高く、新月の日には死亡率が高い
- 満月の日に向かうにつれ、出血量が多くなり、手術や治療の回復に時間がかかる
- 新月の日に向かうにつれ、出血量が少なくすみ、手術や治療の回復は早い傾向にある
こんな話を耳にしたことがある方も多いかもしれません。
また月といえば、女性と関係が深いことは古くからいわれています。 ここでは、女性への影響もみていきたいと思います。
月の周期には大きく「新月」と「満月」があり、この新月から次の新月までの周期は約29.5日です。 女性の身体の周期にも「生理」と「排卵」がありますが、この1周期は約28日。
この周期には、2種類の女性ホルモンが大きく関わっています。 それが「エストロゲン」と「プロゲステロン」です。
エストロゲンは子宮内膜を厚くしたり、女性らしい身体を作るなどの働きをします。 一方プロゲステロンは、体温を上げる、子宮内膜に受精卵が着床しやすくする、妊娠した場合は妊娠が継続するようにする、などの働きがあります。 妊娠が成立しなかった場合、子宮内膜が剥がれ落ち血液とともに排出されますが、これが生理です。
このエストロゲンとプロゲステロンとの関係ですが、生理がくるとエストロゲンとプロゲステロン両方の分泌量が急激に減ります。
エストロゲンの分泌量は、生理後から増えていき排卵前にピークになります。 そして排卵を境にプロゲステロンの分泌量の方が多くなり、それに伴い体温も高くなります。
このように女性の周期は、月の周期とほぼ同じ周期で一周します。 また地球の水分量は約70~80%、人間の水分も約70~80%といわれていますよね。 月の引力が地球に大きく影響していますが、人間の体も心もそして地球に住む生き物も影響を受けていることがわかると思います。
月の周期を毎日に取り入れるためのヒント
新月期と過ごし方のヒント「新月の力」新たなスタートに!
私たちの身体は、新月では引っ張る力が働くので排泄力や解毒力が最大に働くとされています。 その影響は心にも作用します。
新月は、気持ちを切り替え新たなスタートを切るにもよい時期で、新しい目標を立てたり悪習慣を断ち切るのにも適した時期です。
新月から上弦の月、満月に向かうにつれて吸収する力が上がっていきます。 この時期には例えば、身体を作ったり何かを学んだりと物事を効率よく進めることができる時期です。 エネルギーも高まるので、目標達成に向けて積極的に行動するのもおすすめです。
満月期と過ごし方のヒント「満月の力」リラックスに!そして結果を得やすいとき
そして満月では、緩む力が最大になるので何でも吸収しやすい時期とされています。 例えば、揚げ物や脂肪分、糖分の多いものなどを食べると吸収されやすくなります。 そのため、この時期には、できれば控えたほうがよさそうです。
満月には、新鮮なもの、旬のものや自然のエネルギーに満ちたものをいただくなど、食べ物に気を使いたい時期。
さらには身体も心も緩め、リラックスするとよい時期。 幸福感が得られ、心身の健康にもつながるようなものをいただくのがおすすめです。
先ほど女性の身体についてお話しましたが、実は骨盤も、月経周期に合わせて緩んだり締まったりしています。 理想は生理中は骨盤が開いた状態です。 理想はというのは、ストレスなどでうまくいかないこともあるからです。 満月のときに生理が来ると、女性の身体は楽になりそうですね。
また満月の日には、新月から始めたことや目標に対して何かしらの結果が出やすい日といわれています。
下弦の月、新月に向かうにつれて締まる力が働き出し、気持ちもだんだんと落ち着きを取り戻していきます。身体にも心にも再び要らないものを排出する力が働きます。 気持ちは内面に向くので自分を見つめなおし、必要のない考えや気持ちを捨て、身の周りも整理整頓、掃除をして次の新月を迎える準備をする時期に充てるとよいです。
月と空間のエネルギー
身体だけではなく、空間にもエネルギーは流れています。 空間のエネルギーの流れがよくないと、私たちの心身にもよくない影響を与えてしまいます。 よいエネルギーを流すためにも、空間を整えることはおすすめです。
そして新しい気持ちで次の新月を迎え、新しい目標を立て、また満月に向かって物事を効率よく進め、いろいろなことを吸収し、自分なりの結果を出し、また要らないものを手放す。
このようなことを意識するだけでも、私たちも自然のリズムの中で生活していることに気づかされます。
月の周期を取り入れて心地いい日常を
ここまでお読みいただいて、私たちは自然の一部ということをあらためて感じていただけた方も多いかもしれません。
自然のリズムに寄り添うことに意識を向けてみるとメリハリのある生活ができますが、自分と向き合い、自分を大切にすることにつながると思います。
自然と触れあう機会が減ってしまうと、心身の調和が乱れてきます。 逆に自然と触れあう機会が多くなると、幸福感が増し心身の健康を促進します。
まずは月の周期を生活に取り入れて自然の一部としてそのリズムを感じてみるのはいかがでしょうか。 月の周期をうまく使って、心も身体も無理なく心地よく過ごすことができたらいいですね。
参考文献:
月の満ち欠け図作成Eat Act Tokyo, 図参考「中3理科 月の見え方ポイント」https://exam.fukuumedia.com/rika3-42/
『月の満ちかけをながめよう』森雅之, 誠文堂新光社
『月のきほん』白尾元理, 誠文堂新光社
『月の満ち欠けごはん』和泉理絵, 誠文堂新光社
『リズムの生物学』柳澤桂子,講談社
『月ヨガ 心とカラダを整える28日間浄化メソッド』島本麻衣子, 講談社
『月のこよみ 2022』相馬充, 誠文堂新光社
『月のこよみ 2023』 相馬充, 誠文堂新光社
『月のリズムでダイエット』岡部賢二, サンマーク出版
『ホルモンのルール』 ウミノミチコ, 技術評論社
『アーユルヴェーダが教えるせかいいち心地よいこころとからだの磨き方』アカリ・リッピー, 三笠書房
『心とからだによく効く インド健康術』上馬場和夫 西川眞知子, KKベストセラーズ