食事はアーユルヴェーダの基本のひとつです。
それは、食べたものでからだはでき、何を食べるかが心身に大きな影響を与えると考えてられているからです。
また、アーユルヴェーダでは一人ひとり体質は違うので、一人ひとり(の体質(性質))に合ったものを取り入れることが大切だと考えます。 体質だけではなく、住んでいる場所、そのときの体調、季節によっても変わり、合うものは違います。
また、すべての食事(食材)は薬だと考えます。
それぞれの食材の作用を知り、体と心にどう影響するかを考え、そのときどきの自分自身に合ったものを取り入れる。
アーユルヴェーダの知恵を心身の健やかさに生かすのがアーユルヴェーダの食事法です。
目次
アーユルヴェーダとは、簡単に言うと…
アーユルヴェーダとは、インドが起源の伝統的な医学。 今やインドやスリランカだけではなく、世界中の人たちに取り入れられています。
アーユルヴェーダでは、私たちの健康は自分自身の調和(バランスがとれた状態)であると考えます。 自分自身の調和とは、人生の目的・考え方(思考)・心(感情)・普段の行動が調和している状態をいいます。 調和を図る方法として、自然のリズムに沿った生活、食事、そして精神的なバランスを重視し、人生を健康的に過ごすための方法を伝えています。
アーユルヴェーダの食事法は、いまの時代、多くの人にとって健康的な体と心を維持するためのひとつの手段となっていますし、自然に寄り添う食べ方のヒントにもなります。
アーユルヴェーダの食事法って何?
食事はアーユルヴェーダの基本的で重要なキーワード。 食べたもので体と心は育まれ、何を食べるかによって体と心に大きな影響があると考えます。
これは、アーユルヴェーダに限らず中医学や薬膳なども同様ですし、現代の栄養療法(栄養学)でも食事が体と心を健やかにしてくれることがわかっています。
アーユルヴェーダの食事の基本的な考え方とルール
アーユルヴェーダの食事は、個人の体質(性質)やその時の状態、季節、環境などによって考慮します。 また、 偏りすぎず、バランスの取れた食事を大切にします。
アーユルヴェーダの食事の基本的な考え方として、アーユルヴェーダの食事のルールをご紹介したいと思います。
- 食事の量
よく噛んでいただき、腹八分目を心がけます。 自分の消化力以上に食べ過ぎないようにします。
適切な量のおいしい食事は、アーマ(未消化物)を体に溜めず、きちんと消化されるはずです。
(食事の適切な量は、人によって違いがあります) - 食品の性質
食べものにはそれぞれ性質があるとアーユルヴェーダでは考えます。
それらは私たちの体と心に作用し、有益な食べものは私たちの成長を促しバランスをとってくれます。 - 調理法
調理の仕方によっても、食材の性質が変化するため。 - 身土不二
暮らしている土地の旬のものをいただく
身土不二とは、土地と身体は切っても切り離せない関係で、相互に影響し合い、バランスをとっているということ。
旬の新鮮な食材は、みずみずしく、エネルギーに満ちています。 - 時間
アーユルヴェーダでは調和をはかるために、時間を上手に活用します。
時間とは、1日の時間、季節、年齢などです。
例えば、1日の中では消化によい時間がお昼のピッタの時間です。 1日の食事の中でお昼を1番中心に考えて食事を摂ることが理想的です。 ライフスタイルを考慮しながら、時間を活用しましょう。
また、毎日のリズムをつくり規則的におこなうこともおすすめします。 - バランス
偏った食べ方は体と心の両方に影響します。
1つのものを偏って食べるのではなく、アーユルヴェーダの6つの味・6つの属性を考慮し万遍なく食事をいただきます。 - 組み合わせ
冷たいものと熱いものを一緒に摂る、生ものと調理したものを摂る、牛乳とヨーグルトを一緒に摂る、種類の違うタンパク質を摂る、などそのほかこれらは避けるまたは控えたほうがよいです。 - 食べる人の適合性
例えば、3世代前から慣れ親しんだものは遺伝子に刻み込まれ、消化しやすいとされています(サートミヤ)。
参考
以上がアーユルヴェーダの食事の基本的なルールですが、これにこだわりすぎて神経質になりすぎないことと、偏った食事をしないことが大切です。 そのほか、
- 自然に近い食品をいただく
アーユルヴェーダでは、自然な形で摂取できる食品が重視されます。
加工されすぎた食品や添加物が含まれた食品は、体を汚染するため、避けたほうがよいと考えます。 - できるかぎり作り立てをいただく
可能な限り作ってすぐの食事を食べることがよいと考えます。 - ドーシャに合ったもの
体質や季節、状態、時間、年齢などを考慮する
などがあります。
アーユルヴェーダの食事は『体質別』に取り入れる
アーユルヴェーダでは、これを食べれば健康になるという、万人に合うものはありません。
人それぞれ体質が違いますので、それぞれに合ったものを食べるのが適切と考えます。
例えば、家族でも太りやすいタイプ・太りにくいタイプがあったり、冷えやすいタイプ・冷えにくいタイプがあると思います。 親子、兄弟(姉妹)であっても体形や肌質・髪質が違う場合もよくあります。
また、体質だけでなくそのときの状態や体調によっても個人差があります。 一人ひとり違うので、万人によいものはありません。
誰かがよいといったものが自分に合うわけではないですし、専門家が進めているものが自分に合うとは限らないのです。
自分自身の体質を知って、そのときどきの状態・体調・季節・環境などを考慮し、自分に合ったものを取り入れていきましょう。
アーユルヴェーダの体質別食事「ヴァータ」の人の食べ方
ヴァータの人は、やせ形で骨格は華奢なタイプ。 食べても太りにくい人です。
風のように軽やかで自由、移ろいやすい心を持っています。
このタイプの人は、順応性も高く、想像力が豊かで理解も早いです。 快活で楽しい雰囲気を持ち合わせます。 ストレスを受けやすいタイプです。
食べ方は、
- 毎日のリズムをつくり規則正しく食べること
- 慌ただしく食べないこと
- 冷たいものは避け、調理されたものを温かいうちに食べること
- 甘味・塩味・酸味のある食べもの
避けるといいものは、
- カフェインなど刺激のあるもの
- 乾燥しているもの(ドライフルーツ、シリアルなどは食べ過ぎないようにする)
- アイスや冷たい食べもの、飲みもの
ヴァータの人は、「温かいもの」「重いもの」「適度な油分」を摂ることがおすすめです。
アーユルヴェーダの体質別食事「ピッタ」の人の食べ方
ピッタの人は、中肉中背タイプ。 食欲旺盛で体力も消化力も優れています。
火のように熱く、情熱的と言われることが多く、チャレンジ精神旺盛でリーダータイプ。
このタイプの人は、知的で勇気・行動力があり行動や話しに無駄がありません。 感情の起伏があり攻撃的になりやすいタイプです。
食べ方は、
- 規則正しい食生活を心がける
- 量を控えめにする
- 怒っているときなどは食事をしないようにする
- 甘味、苦味、渋味のある食べものがよい
避けるといいものは、
- アルコール全般
- 冷たすぎるもの(生野菜などはおすすめだが、冷たすぎるものは注意)
- 塩分の摂りすぎ
ピッタの人は、水分を含む熟した果物やウリ科の野菜・穀類などもおすすめです。 反対に熱すぎるもの、刺激のあるスパイスなどの摂りすぎは注意しましょう。
アーユルヴェーダの体質別食事「カパ」の人の食べ方
カパの人は、体格がよくグラマー(どちらかというと、ふくよか)なタイプ。 太りやすいのが悩みかもしれません。
行動や話し方はゆっくり。
このタイプの人は、慈愛に満ちて献身的、辛抱強いタイプ。 心が落ち着いていて、大地のようにどっしり安定感を与えてくれるタイプです。
食べ方は、
- 調理した温かい食べものや飲みもの
- 食事は少量で軽く
- 油分を抑えた食事
- スパイスを効かせた食事
- 辛味、苦味、渋味のある食べものがよい
避けるといいものは、
- 揚げ物や脂っこい食べもの
- 食後に水分を摂りすぎること
- 乳製品やナッツ類
- 果物や冷たいもの
カパの人は、アーマ(未消化物)を溜めやすい傾向にあります。 間食は控え、小食を心がけましょう。
アーユルヴェーダの食事法は数千年前から活用されている
驚くことに、アーユルヴェーダでは数千年も前から個人の体質や体調に合わせた食事を実践し、健やかな心身づくりにその知恵が生かされています。
現代では、いつでもどこでも食べ物を買うことができ、気軽に食べられる加工食品なども豊富にあります。 さらには、世界中の食材、食事も比較的安易に手に入れることができます。
いつでも、どんなときでも、なんでも口にすることができる時代だからこそ、「どんなものを食べるとよいか」自分自身のからだに耳を傾けて、合うものを上手に取り入れていくことが大切です。
今回ご紹介したことは、アーユルヴェーダの食事法の基本的なことです。 上記にある8つのルールや体質別食べ方を考慮し、消化力に合った食事を取り入れ、体内に毒素を溜め込まない工夫をし、一人ひとりに合った健康的でおいしい食事を楽しんでくださいね!
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参考文献:Eat Act Tokyo主催 AYUWEDA式アーユルヴェーダオンライン講座
西川眞知子著『これ1冊できちんとわかるアーユルヴェーダ』