今回は、自然にそった暮らし、七十二候の第十三候「玄鳥至」について。
玄鳥至は、「つばめきたる」と読みます。
二十四節気では「春分」から「清明」へと移りました。玄鳥至は、「清明」のはじめの七十二候、初候です。
いまの4月4日~8日ころになります。
七十二候は、自然に寄り添う暮らし方の知恵を紹介してくれています。
そのなかでも、EATでは旬の食材についてご紹介しています。自然にそった食べ方の参考にしていただけると嬉しいです。
二十四節気「清明(せいめい)」
すべてのものが清らかに明るく美しく生き生きとするころのことです。さまざまな花が咲き、鳥がさえずる季節です。
七十二候「玄鳥至(つばめきたる)」
新暦で4月4日~8日ころ。
玄鳥至とは、つばめが南から海を渡って日本にやってくるころ。
つばめは昔から幸せのシンボルとされてきました。「店の軒下などにつばめが巣を作ると商売繁盛する」「つばめが低く飛ぶ様子を見たら豊作になる」「つばめが巣を作った家は子宝に恵まれる、不幸なことや災害に遇わない」などといわれてきました。
その理由は、つばめは子だくさんなこと、古代エジプトではつばめが「夜明けの太陽を告げる鳥」とされ吉兆を意味していた、風水からみてもいい場所にしか巣を作らないからなどさまざまな説があります。
旬の食材「行者にんにく」
行者にんにくの旬は4~5月。
成長がゆっくりなため、収穫まで5年以上かかるといわれています。
行者にんにくには、止血作用が期待できるといわれる、ビタミンKが豊富に含まれています。
また、β-カロテンも多く含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは抗酸化作用が高く、がん予防にも効果が期待できるといわれています。
さらに、行者にんにくの栄養素で注目すべきなのが、アリシンです。
アリシンは疲労回復効果や、血流を良くして冷えを改善する効果が期待できるといわれています。また、とても強い殺菌作用があり、広範囲の菌に対して食中毒や感染症を予防するといわれています。
アリシンは水に溶け出しやすいので、さっと湯がくか生でいただくのがおすすめです。ですが、お腹の弱い方やお子さまには刺激が強いので火を通したものがよいです。
行者にんにくの選び方:
葉の色が濃く、茎が太くて切り口がみずみずしいものを選びましょう。葉が開いていないものの方が香りが濃いです。
旬の食材は栄養価も高く、一番おいしいとき!
皆さんは行者にんにくで何を作りますか?
「身土不二」暮らす土地の旬の食材をたくさんいただきたいですね!!
【七十二候とは】 日本には、一年を4つに分けた「春夏秋冬」のほかに、一年を24等分し季節を表す「二十四節気」、さらに細かく一年を72等分した「七十二候」という暦があります。 七十二候は、四季折々のできごとをそのまま名前にしていて、5日ごとに新しい季節に移ります。 日本人は昔から、七十二候を田植えや稲刈りなど農耕の目安にし、節分やお彼岸、土用など季節の節目を知る暦として使っています。今では私たちの暮らしの中に溶け込み、馴染み深いものも少なくありません。また、七十二候では、植物や生き物たち、旬の食材などが紹介され、こまやかな季節の移ろいを感じるとることができます。 気候変動によって気候の変化も大きい現代には、少しずれているところもあるかもしれませんが、自然に寄り添う暮らしを思い出させてくれる知恵がいっぱいつまっています。 |
参考:白井明大・有賀一広(2020)『日本の七十二候を楽しむー旧暦のある暮らしー』角川書店.
写真=pixabay
文=板倉由佳