今回は、自然にそった暮らし、七十二候の第三十九候「蒙霧升降」について。
蒙霧升降は、「ふかききりまとう」と読みます。
七十二候は雨水の次候「寒蝉鳴」から末候「蒙霧升降」へと移りました。
いまの8月17日~22日ころになります。
七十二候は、自然に寄り添う暮らし方の知恵を紹介してくれています。
そのなかでも、EATでは旬の食材についてご紹介しています。自然にそった食べ方の参考にしていただけると嬉しいです。
二十四節気「立秋(りっしゅう)」
秋の気配がほんのりと現れてくるころで、秋のはじまりです。
暑さはピークをむかえますが、ここから白露(9月7日)までを「残暑」といいます。
旧暦の7月7日は立秋のころ。中国では七夕のことを乞巧節(きっこうせつ)といいます。日本でも仙台や松本など、8月6日ころに七夕祭りをする地域もありますね。
七十二候「蒙霧升降(ふかききりまとう)」
新暦で8月17日~22日ころ。
深い霧がたちこめ、辺りをしっとりと包むころ。蒙霧(もうむ)とはもうもうと深い霧がたちこめることです。
霧と霞は同じ自然現象ですが、春は霞(かすみ)といい、秋は霧(きり)といいます。
濃い霧の中を歩いているとき、木の葉や枝についた霧がしずくとなって落ちてくることを「樹雨(きさめ)」といいます。
旬の食材「新しょうが」
新しょうがとは、夏のうちに早めに収穫される、茎の部分が赤いしょうがです。
旬は6~8月ころ。
しょうがの香りはシネオールというもので、食欲増進や、疲労回復によいといわれています。
辛味はシンゲロール・ショウガオールによるもので、強い殺菌作用があります。加熱するとシンゲロールがショウガオールに変化します。
ショウガオールは血行を促進し、体を温めてくれる作用があり、発汗作用を高めてくれます。
新しょうがは、白くツヤがあるもの、茎の切り口が鮮やかな紅色のものを選びましょう。
収穫後すぐに出荷されるので、水分を多く含んでおり、皮が薄く繊維も少ないので、生で食べられることも多いですね。
千切りにしてきゅうりやトマトなどの夏野菜と和えていただくのもおいしいです。
新しょうがは日持ちがしないので甘酢漬けやシロップ漬け、梅酢漬けにするとよいです。甘酢漬けにした新しょうがでタルタルソースを作ったり、炒め物にアクセントとして入れるのもおすすめです。
旬の食材は栄養価も高く、一番おいしいとき!
皆さんは新しょうがで何を作りますか?
「身土不二」暮らす土地の旬の食材をたくさんいただきたいですね!!
【七十二候とは】 日本には、一年を4つに分けた「春夏秋冬」のほかに、一年を24等分し季節を表す「二十四節気」、さらに細かく一年を72等分した「七十二候」という暦があります。 七十二候は、四季折々のできごとをそのまま名前にしていて、5日ごとに新しい季節に移ります。 日本人は昔から、七十二候を田植えや稲刈りなど農耕の目安にし、節分やお彼岸、土用など季節の節目を知る暦として使っています。今では私たちの暮らしの中に溶け込み、馴染み深いものも少なくありません。また、七十二候では、植物や生き物たち、旬の食材などが紹介され、こまやかな季節の移ろいを感じるとることができます。 気候変動によって気候の変化も大きい現代には、少しずれているところもあるかもしれませんが、自然に寄り添う暮らしを思い出させてくれる知恵がいっぱいつまっています。 |
参考:白井明大・有賀一広(2020)『日本の七十二候を楽しむー旧暦のある暮らしー』角川書店.
写真=pixabay, Eat Act Tokyo
文=板倉由佳