今回は、自然にそった暮らし、七十二候の第六十六候「雪下麦出」について。
雪下麦出は、「ゆきくだりてむぎのびる」と読みます。
七十二候は冬至の次候「麋角解」から末候「雪下麦出」へ移りました。
いまの12月31日~1月4日ころになります。
七十二候は、自然に寄り添う暮らし方の知恵を紹介してくれています。
そのなかでも、EATでは旬の食材についてご紹介しています。自然にそった食べ方の参考にしていただけると嬉しいです。
二十四節気「冬至(とうじ)」
冬至とは、1年で最も昼が短く、夜が長い日です。
太陽が復活する日と考えられ、縁起のよい日ともされてきました。古代では冬至が1年のはじまりだったそうです。
七十二候「雪下麦出(ゆきくだりてむぎのびる)」
新暦で12月31日~1月4日ころ。
雪下麦出とは、秋に蒔いた麦の種の芽が、雪の下からでてくるころのことです。
冬の厳しい寒さの中でも、草木は力強く芽吹く準備をしています。
一年の締めくくりに食べられる「年越しそば」は、江戸時代中期ころからはじまったといわれています。細く長く伸びるそばのように、長寿で幸せに暮らせますようにとの願いを込め、大晦日に食べられてきました。また、そばはうどんに比べ切れやすいことから、悪縁、災厄と縁を断ち切るという意味もあるといわれています。
旬の食材「百合根」
百合根の旬は11月~12月です。
その名の通り、百合の花の球根です。ほくほくした食感と甘味が特徴です。
日本や中国で古くから自生していたようで、食用だけでなく、滋養強壮、咳止め、利尿によいとされ、また鎮静作用もあり、薬用として利用されてきたそうです。
百合根はカリウムの含有量が野菜の中でトップクラスです。カリウムには高血圧予防が期待でき、利尿作用があり、むくみ予防、解消、腎臓に溜まった老廃物の排泄を促してくれる効果が期待できます。
また、ビタミンCも少量含まれています。ビタミンCは熱に破壊されやすい性質がありますが、百合根のビタミンCはデンプンで守られており、熱で破壊されにくいです。
百合根の選び方:
色が白く黒ずんでいないもの、鱗片にハリがあり、しっかり重なり合い締まっているものを選びましょう。
全体に紫がかっているものは苦みが強いといわれています。
ばらしてパックに詰められているものもありますが、まるごと1個がおがくずにくるまれて売られているものがよいでしょう。
旬の食材は栄養価も高く、一番おいしいとき!
皆さんは百合根で何を作りますか?
「身土不二」暮らす土地の旬の食材をたくさんいただきたいですね!!
【七十二候とは】 日本には、一年を4つに分けた「春夏秋冬」のほかに、一年を24等分し季節を表す「二十四節気」、さらに細かく一年を72等分した「七十二候」という暦があります。 七十二候は、四季折々のできごとをそのまま名前にしていて、5日ごとに新しい季節に移ります。 日本人は昔から、七十二候を田植えや稲刈りなど農耕の目安にし、節分やお彼岸、土用など季節の節目を知る暦として使っています。今では私たちの暮らしの中に溶け込み、馴染み深いものも少なくありません。また、七十二候では、植物や生き物たち、旬の食材などが紹介され、こまやかな季節の移ろいを感じるとることができます。 気候変動によって気候の変化も大きい現代には、少しずれているところもあるかもしれませんが、自然に寄り添う暮らしを思い出させてくれる知恵がいっぱいつまっています。 |
参考:白井明大・有賀一広(2020)『日本の七十二候を楽しむー旧暦のある暮らしー』角川書店.
写真=photoAC
文=板倉由佳