今回は、自然にそった暮らし、七十二候の第七十候「款冬華」について。
款冬華は、「ふきのはなさく」と読みます。
二十四節気では「小寒」から「大寒」へと移りました。款冬華は、「大寒」のはじめの七十二候、初候です。
いまの1月20日~24日ころになります。
七十二候は、自然に寄り添う暮らし方の知恵を紹介してくれています。
そのなかでも、EATでは旬の食材についてご紹介しています。自然にそった食べ方の参考にしていただけると嬉しいです。
二十四節気「大寒(だいかん)」
大寒とは、一年の中でもっとも寒さが厳しいころです。
冬の最後の節季。大寒の最後の日は、節分です。
大寒の朝の水は「寒の水」といわれ、年間を通して腐らないといわれ保存に適しているといわれていました。この寒の水を使って、味噌、お酒、お醤油などを仕込んだそうです。
七十二候「款冬華(ふきのはなさく)」
新暦で1月20日~24日ころ。
款冬華とは、ふきのとうのつぼみが地面から顔を出しはじめるころ。
土の下では春の準備が進んでいます。
ふきのとうは、春に最も早く食べることができる山菜です。
昔は正月の祝い納めの日として、1月20日は「二十日正月(はつかしょうがつ)」といい、正月の残った食べ物をすべて食べつくす日、または仕事をこの日から始める習慣があったそうです。
旬の食材「小松菜」
小松菜の旬は12~3月。
中国原産で、奈良時代から平安時代に伝わったといわれています。
スーパーなどでは1年を通して並んでいますが、寒さで凍るのを防ぐため、葉が厚くなり、糖度が高くなるこの時期が一番おいしいです。
小松菜には、免疫力の向上に役立つといわれるβ-カロテンが豊富です。またコラーゲンの生成に必要とされるビタミンCが多く含まれています。小松菜には鉄も含まれており、ビタミンCと鉄を一緒に摂ることで鉄の吸収力もあげてくれるといわれています。さらにカルシウムも豊富な野菜です。
小松菜には、ほうれん草などのえぐみ(苦み)の元といわれている「シュウ酸」が少ないので、茹でずに生で食べることもできます。茹でる場合は、ビタミンCは熱に弱く水溶性のため外に溶けだしてしまいますので、短い時間でさっと茹でましょう。
小松菜の選び方:
葉が厚く濃い緑色のもの、葉がシャキッとしているもの、株がしっかりとして大きいものを選びましょう。
旬の食材は栄養価も高く、一番おいしいとき!
皆さんは小松菜で何を作りますか?
「身土不二」暮らす土地の旬の食材をたくさんいただきたいですね!!
【七十二候とは】 日本には、一年を4つに分けた「春夏秋冬」のほかに、一年を24等分し季節を表す「二十四節気」、さらに細かく一年を72等分した「七十二候」という暦があります。 七十二候は、四季折々のできごとをそのまま名前にしていて、5日ごとに新しい季節に移ります。 日本人は昔から、七十二候を田植えや稲刈りなど農耕の目安にし、節分やお彼岸、土用など季節の節目を知る暦として使っています。今では私たちの暮らしの中に溶け込み、馴染み深いものも少なくありません。また、七十二候では、植物や生き物たち、旬の食材などが紹介され、こまやかな季節の移ろいを感じるとることができます。 気候変動によって気候の変化も大きい現代には、少しずれているところもあるかもしれませんが、自然に寄り添う暮らしを思い出させてくれる知恵がいっぱいつまっています。 |
参考:白井明大・有賀一広(2020)『日本の七十二候を楽しむー旧暦のある暮らしー』角川書店.
写真=photoAC
文=板倉由佳