子育て世代・ワンオペ育児中の方は、仕事や家事・育児に追われ、週末も休む間もなく、自分のことは後回しになってしまいがち。 自分がイライラしたり、体調を崩すと、子どもも機嫌が悪くなったり、体調を崩したり、悪循環…そんなことはないでしょうか。
また、フルタイムで勤務されている方も仕事とプライベートとやることに追われ、日々忙しく過ごしていると思います。
自分のための時間を取りたくても、思うように取れない…
ケアをしたくても、経済的に大きな負担は避けたい…
このように感じている方が、体も心も整い毎日が健康的に変化し、心身ともに軽やかに自分らしく過ごせる方法を東洋の伝統医学アーユルヴェーダの中からご紹介したいと思います。
特に子育て世代の方は、「自分のために時間もお金も、思う存分かけられない」という方もいるかもしれません。
ですが、あなたが心身ともに健康であること、ご機嫌であることは、自分のためにも(身近な)大切な人のためにも大事なことです。
そして、充実した毎日を過ごすためにも、あなた自身が人生を楽しむためにも、いつでも体と心を整えておきましょう。
今回ご紹介することは、忙しく時間がない方でも気軽にスタートでき、お金もかかりません。
できることから、はじめてみてください。
目次
健康も人生も整う習慣!アーユルヴェーダの「ディナチャリヤ」とは?
皆さんは1日をどんな風に過ごしていますか?
なんとなく、ルーティンで過ごしている方、自分が心地よく過ごせるように工夫している方、それぞれいらっしゃると思います。
アーユルヴェーダには、ディナチャリヤといって「理想的な1日の過ごし方」があります。
ディナチャリヤを取り入れることで、自然のリズムに沿った暮らしができ、体と心のバランスが整っていくというものです。
そのほか自分自身の自然なリズムも整い、より健康的な体と心、よりよい人間関係を築けるようになり、さらには生き生きと自分らしく過ごせるようになっていきます。
ディナチャリヤは1日の過ごし方ですが、1日1日の積み重ねが1か月、1年になり、5年、10年と人生を創っていきます。 そう考えると、日々の過ごし方次第で人生もより健康的になり、人生の質もよりよくシフトしていくという魅力的な習慣です。
そもそも、アーユルヴェーダとは?
アーユルヴェーダは「生命の科学」と訳され、世界三大医学の1つとしてWHO(世界保健機構)でも認められているインドの伝統医学です。
現在でもインドやスリランカでは医学として政府から認められている「人が健康で幸せに長生きする」ための健康増進法です。
今回はそのアーユルヴェーダの中から理想の1日の過ごし方「ディナチャリヤ」についてご紹介していきます。
ディナチャリヤのメリット
ディナチャリヤとは、心身を整え、よりよい人間関係をつくり、健やかに自分らしく生きられるようになるための1日の過ごし方とご紹介しました。
アーユルヴェーダではディナチャリヤを続けることで、以下のようなことが期待できるとされています。
- 自然との繋がりが感じられる
- 病気の予防
- ストレスからの解放
- 消化と吸収を促進
- 規律を持つ
- 心に平和をもたらす
- 幸福体質になる
- 寿命の促進
(AYUWEDA式アーユルヴェーダ基礎テキスト)
筆者はディナチャリヤを実践しはじめて1年半ほどですが、続けてみて以下のような変化を体感しています。
- 心身が整っていくのを感じる
- マスクをしても口臭が気にならなくなった
- 産後なかなか戻らなかったお腹周りがすっきりした
- 心身を観察するようになり、自分を受け容れられるようになった
- より自分らしく、大切なものを大切にできるようになってきた
- 直感やひらめきが湧くことが多くなった
- やりたいことが明確になってきた
- 心地よい人間関係が築けるようになった
- 幸せを感じることが増えた(幸せを感じる感度が上がった)
これは私自身の変化や体感ですので、人によって感じ方は違うものになると思います。
もし、あなたが最近
- モヤモヤすることが多い
- 些細なことで悩みやすい
- 忙しくて目の前のことをこなすだけで1日が終わってしまう
- 疲れやすい
- イライラすることが多い
など、心地よさや充足感を感じることが少ないとしたら、1日の過ごし方や習慣を見直すことで心身を整えることができ、健やかさと幸せが満ちてくるのを感じられるかもしれません。
では、実際にディナチャリヤとはどんなことをするのか、1日の流れをみていきましょう。
ディナチャリヤの理想的な1日の過ごし方
ディナチャリヤ「朝」の過ごし方
●早起きをする
アーユルヴェーダでは、日の出前96分が「神聖な時間(『ブラフマムフルタ』という)」で、その時間に起床するのが健康によいとされています。
とはいえ、夏の日の出は早いため、さすがに午前3時頃に起きるのは難しいですよね。 ですので、すっきり目覚めやすいとされる時間帯(2ー6時)の間に起きるのがおすすめです。
ライフスタイルによっては、仕事が遅くまであり早朝に起床するのは難しいと思います。 そういう方は、休日や長期休暇のときになど可能な範囲で意識してみるのをおすすめします。
●浄化
浄化といっても難しいものではありません。
・部屋の換気
窓を開け部屋の空気を入れ替えるとともに、深呼吸をして朝の清々しい空気で体もすっきり目覚めやすくなります。
・舌磨き、歯磨き
アーユルヴェーダでは寝ている間に老廃物やアーマ(毒素)が出るといわれています。 朝一番に舌を見て「舌苔」が多いときは消化がうまくいかずアーマがある目安とされています。
インドの古典医学書「チャラカ・サンヒター」には、舌にたまった汚れは、呼吸を邪魔し、異臭を生じるため、舌を磨かねばならないとあります。
(新版インドの生命科学 アーユルヴェーダ 上馬塲和夫・西川眞知子著)
舌磨きをすると、口の中がすっきりして口臭も気にならなくなります。 専用のタングスクレーパーがあるとやりやすいですが、スプーンでも代用できます。
舌磨きをするときは、強くこすらないように注意しましょう。
・オイルうがい
うがいに使用するのは、抗酸化力が高いとされている太白ごま油です。
アーユルヴェーダでは、オイルうがいには口腔内の細菌を絡めとる口内洗浄作用と、粘膜内の毛細血管からオイルの成分を取り込む経皮吸収作用の2つがあり、
- 虫歯や歯周病の予防
- 肌の血色、ハリ、ツヤがでる
- 喉や唇が潤う
等の効果が期待できといわれてます。
・鼻うがい
春の花粉の時期や、鼻が詰まっているときにおすすめです。
自宅でやったことがない方でも、もしかしたら耳鼻科などで経験があるかもしれません。
アーユルヴェーダでは、鼻は脳の扉だと考えられており、鼻が詰まっていると頭の働きが鈍くなるのはそのためだと考えられています。
(新版インドの生命科学 アーユルヴェーダ 上馬塲和夫・西川眞知子著 )
鼻うがいは、自宅でも簡単にできるのでおすすめです。
●白湯を飲む
オイルうがいが終わったら、白湯を飲みます。
朝一番に飲むことで排泄を促し、胃腸を温め消化力を高めます。
温かい白湯をいただくことで体も心もホッとリラックスできる時間としてもおすすめです。
アーユルヴェーダ的正しい白湯の作り方もご紹介していますので参考にしてみてください。
●排泄
朝、排泄があるのが理想的ですが、体のリズムには個人差があるのでその限りではありません。
排泄は汚いものと思われがちですが、食べたものがしっかり消化されているのか、体の調子や消化力などを確認できます。
●ヨガ、運動
朝、ヨガの太陽礼拝を数回やるだけで、寝ている間に凝り固まった体をほぐし、筋肉を強め内臓器官が活性化します。
ヨガが難しい方は、ストレッチでもいいです。
激しい運動は避け、自分に合った心地いい運動を定期的にすることで、消化力を高め心身のバランスも整えます。
※生理や体調が悪いときは無理せず、お休みしましょう。
●オイルマッサージ
太白ごま油で全身をマッサージすることで心身がリラックスし、経皮吸収されたオイルの抗酸化成分が血液まで浸透し全身を巡ります。
頭皮、顔、耳、足だけでも、全身をマッサージしたのと同じ効果があるといわれているので、最初はここから始めてみるのもおすすめです。
オイルマッサージの後にベトつきが気になる方は、シャワーでオイルを流してください。
※生理や体調が悪いときは無理せず、お休みしましょう。
●瞑想
人は1日6万回も思考しているといわれていますが、瞑想することで思考を整理し、いっぱいだった脳の容量が圧縮されて頭の回転が速くなり、物事を的確に対応する処理能力が高まります。 そして、思考を手放し、今この瞬間に意識が向くようになり、五感も敏感になるとされています。
瞑想時に腹式呼吸を繰り返すことで、体の無駄な力が抜け、自律神経も整い、リラックスして穏やかな気持ちで過ごすことができます。
心にゆとりが生まれると、小さなことに幸せを感じられる、といった効果も期待できます。
●お祈り
祈りの言葉を発することで、ネガティブな感情を手放し、共感力が高まり、自分や他者を受け容れられるようになるなど、自分自身も環境も少しずつよい方向に変化していきます。
ここでいう祈りとは、利他的な祈りです。 アーユルヴェーダでは祈りには、心身が整い若返る力があるとされています。
仏教の「慈悲の瞑想」もおすすめですが、ここではアーユルヴェーダの本場スリランカの代表的なマントラをご紹介します。
「私が幸せでありますように」
「他の人も幸せでありますように」
「私が嫌いな人も幸せでありますように」
「私を嫌っている人も幸せでありますように」
「生きとし生けるもの全てが幸せでありますように」
ご自分の信じている宗教や宗派、考え方がある方は、信じているものの祈りを唱えるといいと思います。
●1日の過ごし方を意図する
朝、その日のスケジュールを確認して、
「今日はこれを終わらせよう」
「今日はゆったり穏やかな気持ちで過ごそう」
と、1日の始まりに意図して段取りすることで、充実した1日を過ごすことができます。
●朝食
朝ごはんはその日の食欲や体調によって少し軽めにいただきます。
ディナチャリヤ 「昼」の過ごし方
●昼食
消化力が1番高いピッタの時間(10〜14時)に、しっかり昼食を摂ります。
●日光に当たる
免疫力を維持するために欠かせないビタミンDは、紫外線を浴びることで生成されます。
コロナ禍となりリモートワークなどで外出が減った方も多いかと思いますが、風邪やインフルエンザの予防にもなりますので、適度な日光浴を意識するとよいです。
ディナチャリヤ 「夕方・夜」の過ごし方
●ヨガや瞑想
朝のヨガやストレッチでは心身をほぐし活性化させますが、夕方はリラックスしてスムーズな睡眠につながるよう激しい動きやポーズは控えます。
日中は仕事や活動に集中していて呼吸も浅くなりがちですので、瞑想を長めにしたり深い呼吸を意識したりするだけでも心身の疲れや緊張が緩みます。
●入浴
お風呂にゆっくり浸かることで心身の緊張をほぐし、1日の疲れをリセットできます。
食後に入浴する場合は、2時間程度あけてからにしましょう。
入浴中は全身の血流が活発になり、食後すぐに入浴すると消化不良を起こしてしまうためです。
また、寝る1−2時間前までに入ると、自然と体温が下がり入眠しやすくなります。
寝つきが悪いと感じるときは、入浴後〜睡眠までの時間を調整するとよいかもしれません。
●軽めの夕食
夕食は休息に向かう時間帯なので、揚げ物や消化に負担のかかるものは避け、野菜スープなど軽めにいただくのが理想的でおすすめです。
●夕食から2〜3時間空けて就寝
ディナチャリヤを取り入れることで、質のよい睡眠につながります。
体をしっかり休めて、心身を整えましょう。
以上がアーユルヴェーダのディナチャリヤです。
ここまでで、「私には無理だ…」「やることが多いし、私の生活リズムには合わない」と感じる方もいるかもしれません。
ですが、すべてをやろうとせずまずは簡単にできること、やったことのあること、興味のあることから取り入れてみるのがおすすめです。
スムーズに習慣化するときのポイントをいくつかご紹介します。
ディナチャリヤを無理なく取り入れるポイント!
1.アーユルヴェーダ「サートミヤ」を意識する
サートミヤとは、サンスクリット語で「段階的な変化による健全な適応」という意味です。
新しいことを習慣化しようとするときは、ストレスを感じたりバランスが乱れたりすることもあります。 そのため、無理せず急激に習慣を変えようとせず、少しずつスモールステップで、自分に合ったものだけを取り入れることが大切です。
すべてをやろうとしなくて大丈夫です。
今まで7時に起きていたのであれば、最初は10分早く起きてみる。
慣れてきたら寝る時間と起きる時間を少しずつ早めていく。
少し早起きができたから、5分ストレッチをしてみようと、少しずつ試してみてください。
2.目的をはっきりさせる
そもそも筆者が「ディナチャリヤをやってみよう!」と思ったのは
「今しかない娘のかわいさを満喫したい」
「娘には健やかにイキイキと、自分らしく人生を楽しんでほしい。 そのためにもまず母である私がそうありたい」
「自分が元気でいることが娘のためになる。 だからこそまずは自分の心身を整えたい」
このような想いからでした。
「何のためにそれをやるのか」を明確にすることで、「やってみよう!」「続けてみよう」と行動する意欲が湧いてきます。
- 自分がどうありたいか
- 10年後どうなっていたいのか
自分と向き合う時間をほんの少しでも取ることをおすすめします。
ディナチャリヤはこんな方におすすめ!
ここまでいかがでしたか?
ディナチャリヤはどなたでもいつからでもはじめることができるものですが、筆者のようにワンオペ育児中・子育て中のお母さんたちにもおすすめです。
私は育児の傍ら少しずつディナチャリヤを取り入れ、アーユルヴェーダを実践しはじめて日々の暮らしがどんどん心地よく楽しくなっているのを感じています。
育児をしながらのためできない日もありますが、無理せず自身と娘のペースを優先しながら「できるときに、やりたいと思うことをやる」ようにしています。
人生は日々の積み重ね。
ぜひ、皆さんもご自身に合ったディナチャリヤを取り入れて、健やかで心地いい毎日とイキイキと幸せな人生をつくりあげていってくださいね。
参考文献:
1日1回、太白ごま油を口に含むだけ たったひと口、オイルの力 川島一恵著
新版 インドの生命科学 アーユルヴェーダ 上馬塲和夫・西川眞知子著
文=奥田裕子
『もっと深くアーユルヴェーダを学びたい方へ』
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